2018/01/12

ヒッチコックの「鳥」を見た。

新年初めての映画は、ヒッチコックの「鳥」。
気持ち悪+怖+面白い作品だった。

印象に残るシーンは…ほぼ全部だけど、
ヒロインのメラニーが二階の部屋(ブレナー夫人の?)で鳥の群れに襲われる場面が、とびっきりだった。

私の目がおかしいのか、異常な、歪んだエロティシズムが伝わってくるようで。
言ってしまえば鳥に犯されているようにしか見えなくて、えぐかった…。

解釈は見た人によって様々だろうけれども、私にとっては、鳥は完全犯罪者のメタファーのようにも思えた。
ある人は、鳥が人間を襲うはずがない、鳥にそんな習性はないと言って、鳥の無実を抗弁する。
ある人は、「あなたがここに来てから鳥がこうなったんだ」と、ヒロインを非難の的にする。
籠の中のラブ・バードのツガイは、つぶらな瞳でこちらを見返す。
「わたしたちが、そんなことをするはず、ないじゃないですか…」と訴えているかのように。
その二羽の鳥は、幾度かの疑いをかけられながらも無罪とみなされ、逃避するヒロインたちの車にまで乗り込む。

逃げるものの、不安は拭いきれない。
どこへ行ったって、そこには鳥がいる。
人間から与えられる餌を拒否し、人間を餌にし始めた鳥たち。
彼らは、その気になれば、いつだってあなたを支配することができるのだ。

くぁっ、はっ、はっ。

…みたいな。
希望と不気味さが共存するエンディングだった。

ヒッチコックの描く闇は、深くて、濃すぎて、犯罪に全く手を染めることなくここまで描けるのだろうか?という疑念すら湧いてしまう。
故人に失礼なことを書くようでアレだけど、それだけ彼が表現した世界に強い印象を受けたということですので、ご容赦を。

余談だけど、ブレナー夫人はどっかで見た人だな…と思って検索したら、「ドライビング Miss デイジー」に出てたおばあちゃんだった。(「鳥」では、まだまだ若いおばさまだったけど)
「ドライビング Miss デイジー」はすごく好きな映画なので、彼女を「鳥」でまた会えて嬉しかった。

あと、「鳥」を見ているうちに「ウォーキング・デッド」が自然と思い浮かんだ。
考え方によっては「ウォーキング・デッド」の鳥版…というか、「鳥」のゾンビー版が「ウォーキング・デッド」というべきかな?

最後に、Guillaume CORNEILLEという人のWoman and Birdを題材にした絵たちが強烈で面白いということをBGP(バックグラウンドペインティング…)として紹介しつつ、(暇な方はググってみて!)、今日の無駄話を終わりにしたいと思います。

楽しい一日をお過ごしください。