バスに乗るのが好き。
バスに乗って車窓から街の景色や行きかう人々を眺めると、世界が段々現実感を失う。
変な言い方だけど、「人間」という名前の魚が入っている大きな水槽を眺めているような気分…と言えばいいかな?
その、「人間の水槽」を眺めている自分も、段々現実感がなくなって、普段の私とは違う私がぼんやりと浮きあがってくる。
風や雲のように軽く、薄く、広くなって、ほぼ空気中に溶け込んているかような、ふわふわになった自分。
ふわふわと飛んで、誰かの家の2階の窓辺に置いてあるぬいぐるみや植物を見たり、台所の窓に映るお玉、フライ返しなど調理道具の影を眺めたりする。
そういうものたちをボーっと眺めていると、とても満たされるような、とても淋しいような、不思議な気持ちになる。
それだけ。
だけど、なんだか、好きなのだ。
だけど、なんだか、好きなのだ。